夏目漱石の妻3話の感想は、漱石の書いた念書を巡る養父塩原昌之助と漱石鏡子の二人の攻防の激しさが、生きる厳しさと人間関係の辛さに苛むことです。「金の切れ目が縁の切れ目」となるのが世の常なのでしょうか。

夏目漱石の妻
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夏目漱石の妻3話感想 塩原昌之助の突然の訪問

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明治維新という混乱期にあって、それまでの「名士」の座を失った夏目漱石の養父だった塩原昌之助は、金之助(漱石)の成功(「吾輩は猫である」の大人気)を知り、突然、漱石を訪ねてきます。

年老いた昌之助は「昔の寄りを取り戻したい」と能書きを言いますが、金の無心ということは漱石には見当がついていました。

夏目金之助 塩原昌之助
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跳ねつけることもできたでしょうが、夏目家に復籍するにあたり、当時漱石自身が書いたという念書が出てきてしまったのです。

1歳で塩原昌之助に養子に出された漱石は、次々と兄が亡くなったので、父の直克が漱石をお金で昌之助から取り戻したのです。夏目直克と塩原昌之助は確執があったといいますから、金額の折り合いがつかなかったのか、金之助の復籍は21歳まで待たねばなりませんでした。

 

夏目漱石の妻3話感想 夏目漱石(金之助)の立場

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夏目漱石の立場は、相当に複雑だったと想像するに難くありません。詳しくは、次の項に譲るとして、240円で、夏目家と塩原昌之助は漱石の復籍に同意していたのです。

夏目漱石の妻キャスト 夏目漱石の生後と生い立ち

金銭のやり取りは清算されておりましたが、念書には漱石が書いた「不実不人情にならぬよう」生きていく旨が記されていたのです。

20年近く前の念書を持ち出されて苦慮する漱石と、念書を元に強請りを掛ける塩原昌之助の攻防は、これを機に続いていくことになります。

 

夏目漱石の妻3話感想 妻として母として夏目鏡子の立場

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一方で、亭主漱石の生い立ちを聞いて知っている妻夏目鏡子の気持ちも複雑でした。四人の子供を産んで、しかも、もう一人の赤ん坊はお腹の中にいたのです。多くの書生も出入りする夏目家の台所は火の車です。

質入れしている質草の質札もすでに抱えきれないくらいに溜まっています。そんな夏目家にとって、養父の生活費を捻出できるわけがありません。

夏目漱石の妻 念書
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しかし、漱石が子供の時分に世話になった恩義を理解できない鏡子ではありません。妻として、母として、夏目鏡子の心境も複雑だったに違いありません。

しかし、「女は弱し、されど母は強し」の言葉通り、夏目鏡子はここでも強い意志を発揮します。

 

夏目漱石の妻3話感想 パナマ帽と雨中での攻防

塩原昌之助が、再度、漱石を訪ねてきても、漱石は会おうとせず2時間以上も待たせます。しかし、そんな漱石の態度を意に介せず、じっと漱石の現れるのを待つ塩原昌之助でした。

下心とはいえ、目的は金の無心ですから、長時間でも待つことは厭わない昌之助です。しかし、家の中に上がられて困っているのは漱石と鏡子です。

塩原昌之助役 竹中直人
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仕方なく、相手をしようと昌之助に会う漱石に対し、高額で手に入れたパナマ帽の話を持ち出します。つまり、「そんな高額な物が買えるくらい金持ちなら、俺にも融通できるだろう」というわけです。いわば、体裁を繕った強請りです。

鏡子が持知出してきたパナマ帽を見ながら200円貸してくれと、昌之助の要求を断る漱石に対し、不実不人情だと責め立てる昌之助。不人情な男が書く小説など読む価値に値しないと世間に公表すると、脅しをかける昌之助に胃痛が再発する漱石でした。

それを見た妻鏡子は昌之助を咎めると、制止する金之助は「たった一人のいい親父だったんだ」と、苦痛に耐えながら激白します。

恥ずかしさに耐えられなくなった昌之助はパナマ帽を返して、漱石の家を出ます。屋根裏からへそくりで貯めた100円が入った封筒を手にすると、鏡子は昌之助の後を傘も持たずに雨の中を追いかけます。

下駄の鼻緒を切れて、裸足で雨中、昌之助を追う鏡子は、昌之助に追いつくと、封筒を手渡し、質札まで見せて、「3年かかって貯めたお金を差し上げます。これで、無一文です。」と念書を返すように迫ります。

夏目鏡子 塩原昌之助
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それを拒む昌之助に対し、「漱石が倒れたら、そんな念書はただの紙ですよ」と、不実不人情を逆手に取り、昌之助に正面から立ち向かいます。

お金を受け取り、念書を鏡子に返すと、昌之助は恥ずかしさから、傘を投げ捨て、懐のお金を抱えて雨の中に消えます。

尾野真千子と竹中直人の演技には、震えましたね。真に迫った迫力ある演技は素晴らしかったです。夏目漱石の妻3話は、この念書を巡る攻防が最大のテーマでしたが、キャストの演技が光る1話でした。

 

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