ドラマ「下町ロケット」が前半のロケット編を5話で終了しました。前半の豪華キャストに加え後半も今田耕司や小泉真太郎を加え、ますます盛り上がりをみせるでしょう。

佃製作所を中心に損害賠償訴訟を起こすナカシマ工業や、佃が作ったバブルシステムの特許を巡り巨大企業・帝国重工との交渉、佃内部の技術開発部対営業部や経理部の対立などさまざまな人間模様が描かれています。

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帝国重工に於いても組織の中で、それぞれの立場で葛藤があります。ドラマの中で、帝国重工の水素エンジン開発を担当した立役者である富山敬治と若手技術者である浅木捷平も、見方によっては戦っていたとも言えると思えるのです。組織内の立場という観点から、この二人を比較してみたいと思います。

浅木捷平vs富山敬治 帝国重工内部での直接対決ではない面白さ

闘いと言っても、財前道生宇宙航空部部長の部下である主任の富山敬治とその下で働く浅木捷平はライバルでは勿論ありません。が、しかし、劇中では佃製作所の部品供給を何としても阻止しようと企む富山を無視するかのように佃を応援してしまう浅木捷平の人間性への称賛については前回お話しました。

私が今回注目したのは、「組織」という存在、そのものです。「たら、れば」で話をするのは恐縮なのですが、実はもし富山が浅木の立場だったら、つまり若手の技術者で確かな目を持つ素朴な若者だったら、恐らく浅木捷平がとった態度と同じだったのではないかということです。

しかし、巨大企業である帝国重工という組織の中で、揉まれている内に、内部での「昇格、昇進」などに目が眩むようになったのではないか、と思われるのです。

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ポスト財前か」と独り言を言うシーンがあります。俳優・新井浩文の名演技でしたね。だいたい富山は劇中ではいつも伏し目で若干暗い顔をして、「いったいこいつ、何を考えているんだ」、そんな顔をしています。

富山が画策した帝国重工による、佃製作所の予備審査は「落とすためのテスト」ですから、いちゃもんだらけでした。そこでの、浅木捷平の純真な技術者としての素晴らしさは、主人公の佃航平のもつ純真さと相通じるものがありました。

 

浅木捷平の人間性は富山敬治も救ったのではないか

富山敬治は最初から根の暗い、根性の曲がった人間とは思えないと申しましたが、それは何故かというと、彼の原点も技術者であり研究者だったからです。組織の中にいるうちに、あのような邪悪とも言える根性が育ってしまったのではないでしょうか。

一方で、ハンサムで恰好の良い(私もすっかりファンになってしまいましたが)俳優・中村倫也さんですが、色白げ可愛い顔をしてますね。凄く好感が持てました。キャスト浅木捷平役にどんピシャリ、適役でしたね。

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浅木捷平の純粋さとは単なる純粋というより、小さな男の子が持つような「純真」という「表も裏もない、真っ白い心」、子供心に通じるものだと思います。そして、もう一人、まったく同じような心を持つ人間がこのドラマの中心にいます。佃航平です。そして、言葉には表されてはいませんが、正規部品で再テストを願い出る航平と捷平のふたりの間には「静かに流れる共通のエネルギー」が流れ交わしていたように見えます。

そんな浅木捷平ですが、もし、富山敬治の立場に立っていたとしたら、浅木が富山と違った態度を取っていたのかは疑問です。純真なまま富山の立場に立てたかどうか何の保障もありません。むしろ、帝国重工という巨大組織の中で、やはり出世競争とか世俗的な色に染まっていたかも知れません。組織とはそのような「害」も孕んでいるものではないでしょうか。
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