いとも簡単に、20%の視聴率をクリアした「下町ロケット」ですが、熱い男のぶつかり合いには数多くの名場面が登場します。吉川晃司がキャストを務める帝国重工の航空部部長の財前道生も主人公の佃航平に負けないくらいの重厚な存在感がありました。
今回は佃製作所の作ったバルブシステムの最終テストと合格した製品の部品供給を帝国重工社長の藤間秀樹説得に当たる財前道生の名場面を振り返ります。財前道生のキャストを務める吉川晃司さんに「嵌ってしまった」視聴者も多いのではないでしょうか。管理人ももちろんその一人でございます。
燃焼試験の合格を受け本部長と社長説得を協議する財前道生
「ポスト財前」を狙う帝国重工・技術主任の富山敬治は水原本部長を前にして、佃製作所の間違って納品したバルブシステムの試験結果を伝えます。上司の財前道生を無視した意見でしたが、自分が試験の責任者だと全面に押し出ます。
しかし、それに対し、佃航平という男がどんな男か知った財前は本部長の水原に「正規部品」は合格であり、不良品の結果に基づく判断は、以後佃製作所の使用許諾さえも拒まれる恐れが高く、そうなればロケット打ち上げ計画自体が潰れると指摘します。
水原はテスト合格を承認しますが、同時に財前道生に対し、藤間社長の説得が最後の砦であることを示唆します。もちろん、財前はそのことは十二分に承知していました。
水原本部長が一度決めたことを変えたことがない藤間社長の頑なさを財前に伝え、社長の説得ができるのか正すと、財前が固い表情で言います。(恰好良かったですね、吉川さん)
「やるしかないでしょう」
固い表情の財前道生には、固い決意が込められていた名場面でした。
帝国重工役員会で社長を説得する財前道生のシーン
無事、燃焼試験も終わり、佃製作所の作ったバウルシステムの有能性は証明されました。しかし、最後の砦である藤間社長の説得が残っていました。
燃焼テストが終わった後、佃航平と財前道生が料理屋で酒を酌み交わしていました。(なんでもこのロケは東京都内、六本木にある志る角という料理屋で撮影されたようですよ)
佃航平は「最後までできる限りの事をした。後は財前道生の説得が成功することを信じる」と目を合わせて伝えます。財前はそれを聞いて、社長説得に決意を新たにするのでした。
そして、5話のハイライト・シーン、いよいよ役員会で財前が発言する場面がやってきます。社長の藤間を筆頭に全役員20数名が集まる中、財前道生が参上します。
財前は静かに、問題があると発言します。帝国重工が開発した水素エンジンだったが、その中の部品であるバルブシステムの特許が僅差で佃製作所に取られていたと告げます。当然のように役員たちは「特許買い取り」と騒ぎ始めます。
しかし、それができないと財前が言うと「話にならん」と席を立とうとする藤間を財前は呼び止めます。そして、そこから真摯に藤間社長に語ります。佃航平が失敗した7年前のロケット打ち上げの開発主任だったこと。そして、航平こそが、失敗の原因がバルブシステムだと熟知しており、それ故に小さな町工場の社長となっても、その部品であるバルブシステムの完成に全力投球してきたのだと。
財前は同じ技術畑の藤間社長の夢の実現には、どうしても佃製作所の作ったバルブシステムが必要であり、それ以上のシステムは存在しないと力説し、藤間社長の理解を求めます。
決めたことを変更したことのない藤間秀樹でしたが、その佃航平の生きざまを財前から伝えられ「バルブシステムがロケットエンジンを制する」という言葉に動かされ、初めて「例外」を認めた瞬間でした。
「賭けてみるか」最後は藤間秀樹が帝国重工の「内製化」の拘りを変更した瞬間でした。
財前道生の目からは涙が零れていました。私の目からも涙が落ちていました。感動した名場面でしたね。
今回は、吉川晃司キャストの帝国重工航空部長・財前道生の名場面をハイライトしました。
最後までお読みいただき本当にありがとうございます。
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